非常食・保存水の備蓄の必要性
災害が起きてから慌てて買い出しに行っても、どこも長蛇の列で必要な物が必ず手に入るとは限りません。
避難所では、行政職員や事業所職員も食事の確保に苦労しました
大規模な災害が発生すると、自宅の損壊や電気、ガス、水道の被害により自炊がままならなくなり、さらに、道路の損壊や店舗の休業等により食材も調達しにくくなり、外食もできない事態が重なり突然食事ができない状況に陥ります。災害が起きてから慌てて買い出しに行っても、どこも長蛇の列で必要な物が必ず手に入るとは限りません。
このことからも、有事に備えて平時から水と食料の確保は欠かせません。
熊本地震でも、余震に怯える中で、さらに被災者を不安にさせたのは、いつ水と食料が手に入るかという情報が入って来ないことでした。
発災直後の益城町のある避難所では、300人収容の避難所で、弁当を300人分用意したところ、200人分不足したという例がありました。周辺でテント泊や車中泊されている方が、人数に入っていなかったことが原因でした。
あまり報道では取り上げられない問題ですが、行政職員や事業所職員も食事の確保に苦労しました。行政職員は住民を優先し、園や学校では子供を優先し、事業所職員は顧客を優先し、自らは全く何も口にせずに不眠不休で対応をしていました。しかし、「食べることは生きること」であり、心身ともに健康で継続して活動するためには、職員の食事こそ過酷な労働を前に何を食べて活動するのかという視点において、食事の質に重点を置いて考えるべきなのです。
非常食はアレルギー対応食品にするなどの対応が必要
子供のみならず、大人も食物アレルギーの人がいます。
子供なら園や学校の給食を通じて認知していても、社会人では個々に食事をするために、その人が食物アレルギーであることを知らない場合もあり、災害時に事業所で用意した非常食がその職員だけ食べられないことも考えられます。事業所で備蓄している場合にはアレルギー対応食品であるかの情報を公開し、個々の社員に対応するのか、個人に備えを推奨していくのか、対策を検討しておきましょう。
保存水は利用用途を考え必要な量の備蓄を
保存水については見落としがちな点として調理に水を使用する非常食を備えている場合、食事を作るために水を使用したら飲料水がなくなってしまうということもあります。飲料水の他に、調理用水が必要かどうかを確認し、必要な量を備えておきましょう。